LaTeXとMarkdownにおける数式表記の方法

LaTeX は数式を美しく表現できる強力なツールですが、Markdown でも LaTeX 数式を利用することができます。本記事では、LaTeX の数式表記方法や、Markdown での活用方法について詳しく解説します。


LaTeX で数式の左右をイコールで揃える方法

数式の左辺と右辺をイコール(=)で揃えるには、以下の方法が使えます。

1. align 環境(推奨)

\begin{align}
    a + b &= c + d \\
    x + y &= z
\end{align}

ポイント - &= の前に置くことで、イコール記号を揃えられる。 - \\ で改行可能。

2. equation 環境 + aligned 環境

\begin{equation}
    \begin{aligned}
        a + b &= c + d \\
        x + y &= z
    \end{aligned}
\end{equation}

ポイント - alignedalign の中身だけを扱うミニ環境。 - equation 環境と組み合わせることで、数式番号を自動付与。

3. array 環境

\[
\begin{array}{rcl}
    a + b & = & c + d \\
    x + y & = & z
\end{array}
\]

ポイント - {rcl}r(右揃え), c(中央揃え), l(左揃え)を指定可能。


Markdown での LaTeX 数式表記

Markdown では LaTeX 数式を $...$(インライン)または $$...$$(ブロック)で囲むことで表記できます。

1. align 環境(MathJax, KaTeX でサポート)

$$
\begin{align}
    a + b &= c + d \\
    x + y &= z
\end{align}
$$

ポイント - align 環境は MathJax や KaTeX が有効な場合 にのみ動作。

2. array 環境を使う

$$
\begin{array}{rcl}
    a + b & = & c + d \\
    x + y & = & z
\end{array}
$$

ポイント - array も利用可能だが、align のほうが一般的。


ブロック数式の書き方:$$ ... $$ の改行について

Markdown でブロック数式を書く場合、次の2通りがあります。

短い式なら $$ a = c $$

$$ a = c $$

複数行の式なら $$ ... $$ の中で改行

$$
a = c
$$

ポイント - 環境によっては $$ a = c $$ のように書くと改行されない場合がある。 - 数式が長くなる場合は改行するのが安全


LaTeX は数式だけではない!

LaTeX は数式専用のツールではなく、論文・技術文書・本・スライド などの組版全般を扱えるシステムです。

LaTeX の主な用途

通常の文章

\documentclass{article}
\begin{document}
これは LaTeX で書かれた文章です。
\end{document}

目次・章立て

\tableofcontents  % 目次を自動生成
\chapter{はじめに}

画像・図の挿入

\usepackage{graphicx}
\includegraphics[width=5cm]{example.png}

表の作成

\begin{tabular}{|c|c|}
\hline
項目 & 値 \\
\hline
A & 10 \\
B & 20 \\
\hline
\end{tabular}

数式の組版

\[
E = mc^2
\]

10進数を2進数に変換する筆算を LaTeX で表現

10進数を 2 で割り続け、余りを下から読む方法を LaTeX で表現する例を紹介します。

例:19 を 2進数に変換

\[
\begin{array}{r|l}
    19 & 2 \\
    \hline
     9 & 1 \\
     4 & 1 \\
     2 & 0 \\
     1 & 0 \\
     0 & 1 \\
\end{array}
\]

\[
\text{よって } 19_{10} = 10011_2
\]

ポイント - array 環境を使用して、割り算の筆算を再現。 - \hline で区切り線を作成。 - 下から読んで 10011₂ と表記


まとめ

  • LaTeX は数式だけでなく、文書全体の組版も可能
  • Markdown でも MathJax や KaTeX を使えば LaTeX 数式が書ける
  • ブロック数式では $$ ... $$ の改行に注意
  • LaTeX で筆算を表現するには array 環境が便利

LaTeX を活用すれば、美しく整った文書を作成できるので、ぜひ試してみてください!